こんにちは、ミクロ投資法を教えているかまくらです。
「新型コロナウイルス蔓延による外出自粛で、EC売上の少ないアパレル企業の業績低下/株価下落が予想されます。空売りを仕掛けようかと考えていますが、アパレル銘柄で空売りをおすすめする銘柄はありますでしょうか?」
という質問にお応えします。
本記事では、新型コロナウイルス蔓延による業績低下/株価下落が予想されるアパレル銘柄を紹介します。もちろん、空売りおすすめ銘柄です。具体的には・・・
・三陽商会(8011)
です。
コロナで株価下落が想定されるアパレル銘柄の選び方
空売りおすすめアパレル銘柄の選定ポイントは・・・
・直近1年間の業績で、売上/営業利益/経常利益の増加率がマイナスとなっている、もしくは、赤字となっている銘柄
です。
※本来、企業発表もしくは四季報掲載の業績“予想”を利用したいところですが、新型コロナウイルス蔓延により業績予想の信憑性が低下しています。よって、直近1年間の業績を参考としました。
それでは、空売りおすすめアパレル銘柄を一つひとつ見ていきましょう。
全く株価が上昇するイメージがわかない・・・4℃ホールディングス(8008)
「4℃」ブランドでおなじみにの4℃ホールディングス・・・。4℃ホールディングスではジュエリー事業とアパレル事業を展開しています。全売上の内、ジュエリー事業の売上比率は約60%であり、アパレル事業の売上比率は約40%です。
【4℃ホールディングス2020年2月期決算短信】
https://yondoshi.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/04/200413_70.tanshin.pdf
新型コロナウイルス蔓延によりアパレル事業の売上は下がるでしょう・・・。
“自社競合店”の閉店により株価は下落しつづける・・・
そして、4℃ホールディングスの一番いただけないところは、“自社競合店”をつくってしまったことです。現在、不採算店を大量閉店し、事業リストラクチャリングを進めているところですが、この“自社競合店”による事業の失敗は、ペッパーフードサービス(3053)を彷彿させます。
ペッパーフードサービスでは、「ペッパーランチ」と「いきなりステーキ」を日本国内に共存させ、まさに“自社競合店”を乱立させていました。現在、「いきなりステーキ」の閉店を進めています。
【いきなりステーキ74店閉店 令和2年中、不採算店整理】
https://www.sankei.com/economy/news/200227/ecn2002270039-n1.html
ペッパーフードサービスの株価チャートを見れば一目瞭然ですが、株価は下落の一途を辿り、ボロ株化しています。
ペッパーフードサービスの週足チャート(2020年5月20日)
4℃ホールディングスの株価もペッパーフードサービスの様に下落の一途を辿る可能性が十分にあります。
4℃ホールディングスの週足チャート(2020年5月20日)
売上/営業利益/経常利益の増加率はすべてマイナス・・・
2019年2月期と2020年2月期の業績は以下のとおりです。売上/営業利益/経常利益すべてにおいて、増加率はマイナスです。
■売上
2019年2月期実績:47,118百万
2020年2月期実績:44,970百万
売上増加率:-4.6%
■営業利益
2019年2月期実績:4,984百万
2020年2月期実績:3,975百万
売上増加率:-20%
■経常利益
2019年2月期実績:6,804百万
2020年2月期実績:4,312百万
売上増加率:-37%
株価は「株価は半年から1年先の業績を織り込んでいく」ので、売上/営業利益/経常利益の増加率がマイナスであり続ける限り、株価は下落し続けます。
※「株価は半年から1年先の業績を織り込んでいく」は、書籍「スピード出世銘柄を見逃さずにキャッチする 新高値ブレイクの成長株投資法」でも紹介されているので、ぜひ、読んでみてください。
※「株価は半年から1年先の業績を織り込んでいく」の事例は、記事「あるある!株式投資Q&A」で紹介しています。併せてご覧ください。ZOZOの株価下落を事例としてあげています。
株価上昇するとしてもまだまだ先の先・・・三陽商会(8011)
老舗中の老舗・・・大手アパレル企業と言えば三陽商会・・・。アパレル業界では老舗企業ほど業績低下が続いています。
営業利益/経常利益ともにマイナス・・・
2017年12月期と2018年12月期の業績は以下のとおりです。注意するべきは、営業利益/経常利益が赤字続きです。
■売上
2017年12月期実績:62,549百万円
2018年12月期実績:59,090百万円
増加率:-6%
■営業利益
2017年12月期実績:-1,907百万円
2018年12月期実績:-2,176百万円
増加率:-
■経常利益
2017年12月期実績:-1,941百万円
2018年12月期実績:-1,950百万円
増加率:-
もはや、業績向上/株価上昇の期待は全くできません。これはビジネスモデルの問題です。ビジネスモデルの中の販売チャネルがあまりにも弱すぎる・・・
販売チャネル別の売上比率は以下のとおりです。※「2020年2月期決算説明資料及び再生プラン」を参考にしています。
百貨店:62.3%
FB・路面店:11.1%
EC・通販:12.7%
その他:13.9%
【2020年2月期決算説明資料及び再生プラン】
https://www.sanyo-shokai.co.jp/company/ir/pdf/31_77_renketu_s.pdf
百貨店の売上比率が62.3%・・・あまりにも大きすぎますね。令和の時代に百貨店頼みはないですよ。百貨店は閉店ラッシュが続いています。百貨店の閉店数と三陽商会の販売チャネル弱化は比例しますね。
【百貨店の閉店ラッシュが止まらない…ありがとう、そしてサヨナラ】
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68719
そして、新型コロナウイルス蔓延による外出自粛の中で、頼みの綱がECサイト・・・ところが、三陽商会のEC・通販の売上比率は12.7%・・・完全に時代の流れに乗り遅れていますね。アフターコロナ/ウィズコロナの時代では、三陽商会の業績向上/株価上昇が全くイメージわきません。
株価ももちろん下落の一途です
三陽商会の株価は下落する一方です。販売チャネルのEC化の出遅れにより、今後も業績/株価下落は続いていくでしょう。
三陽商会の週足チャート
空売りおすすめアパレル銘柄の中では、どちらの方が株価下落を望めそうですか?-三陽商会です。
本記事の読者の中には・・・
と、疑問に思う方もいると思います。
僕は断然、三陽商会の空売りを推奨します。
4℃ホールディングスに関しては、不採算店を閉店からの事業リストラクチャリングを進めればまず、営業利益/経常利益から改善されていくと思います。売上を上げるより、コストカットなどによる利益の創出の方が結果が出やすいです。
三陽商会に関しては、売上向上にも力を入れなければならないため、業績改善には時間がかかると思います。
したがって、4℃ホールディングスと三陽商会では、どちらが一つを空売り銘柄として選ばなきゃいけない場合、僕なら迷わず三陽商会を選びます。
それでは。
注意
本ブログの内容は、一個人投資家としての見解です。ブログの内容を踏まえた投資により生じた損失に関しては、一切責任を負いません。よろしくお願いいたします。個人投資家かまくら