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【解説】SPYDの株価チャートをみてどうする?【いつ買うべきか】

「投資家の間で話題になっているSPYDに興味があるのですが、いつ買えばよいのでしょうか?」

という質問にお答えします。

こんにちは、ミクロ投資法を教えているかまくらです。

「SPYDの買いタイミングについて、僕に聞いちゃいますか・・・」

というのが正直な感想です。

というのも、僕の投資スタンスは短期投資で、投資対象は個別成長企業だからです。
SPYDは長期投資向けで個別企業でもないため、僕に聞くのはちょっとお門違い・・・。

本記事ではSPYDの株価チャートについて解説はしますが、まずは投資スタンスと投資対象という切り口からSPYDについて説明させてください。

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最初にお断りしておくと、「チャートだけでは勝てない」というのが僕の持論です。
ファンダメンタルズがしっかりしている企業の株価が上昇する傾向にあるわけで、チャートだけで勝てるほど株式投資の世界は甘くありません。
(もちろん、チャートだけで利益を出している株式投資家がいることも事実です)

「ファンダメンタル分析のルールの方を知りたい!」

という方は、記事「無料相談実施中!株式投資教えます!」に記載されている僕の連絡先までお問合せください。
厳密に数値化されたファンダメンタル分析のルールをご紹介します。
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そもそもSPYDとは何か?

SPYDとは一言で言うと・・・

S&P500の中の高配当80銘柄で構成された上場投資信託(ETF)

です。

「S&P500ってなに?」
「高配当・・・持ってるだけでお金をもらえるの?」
「いやいや上場投資信託(ETF)とよくわからないし、どうやって買うの?」

と、疑問に思われる方もいるかと思います。

1つひとつ解説していきます。

S&P500とは

S&P500とは、米国企業の中で優良企業と呼ばれる企業500社のこと指します。

「S&P500に連動したインデックスファンドを買いましょう!」

と、よく耳にしますがこれは・・・

「米国の優良企業500社を寄せ集めた福袋があるので、それを買いましょう!」

という意味です。

福袋の具体的な中身は・・・

・アップル
・マイクロソフト
・アマゾン
・ジョンソン&ジョンソン
・フェイスブック
・ゼネラル・エレクトリック(GE)

などの優良企業が入っているので・・・

「将来的に福袋の価値は上がっていきます!価値が上がったら売りましょう!」

というわけです。

SPYDは高配当銘柄を寄せ集めてできた打ち出の小づち

そして、SPYD自体の説明に入るわけですが、SPYDを一言で言うと・・・

「S&P500の中の高配当銘柄80社でできた打ち出の小づち」

です。

先ほど“S&P500は米国の優良企業500社”と説明しましたが、優良企業500社の中でさらに80社に厳選してできているのがSPYDです。
しかも80社はすべて“高配当企業”です。
毎年高い配当金を投資家に還元しているエリート企業集団です。

そして、SPYDをもっているだけで配当金を得られます。
これが“打ち出の小づち”と言われる所以です。
配当金は、持っているSPYDの金額の約4~5%/年です。

しかも、SPYDは上場投資信託(ETF)なので株のように注文を出せるので、手軽に売買が可能です。

SPYDは最強か?

ここまで本記事を読んだ方の中には・・・

「え?SPYDって、つまりは米国のエリート中のエリート企業集団なんですよね?最強じゃないですか!」

と、思われた方もいるかと思いますがちょっと待ってください。

確かに米国優良企業500社の中でもさらに80社に厳選した高配当銘柄は聞こえはいいのですが、“高配当だから良い銘柄”という安易な考え方はやめましょう。

高配当を提示してなんとか株価下落を防止しているジリ貧企業もありますし、配当金を投資家に還元するのではなく企業活動に活用して業績向上/株価上昇を目指す優良企業もあります。

どんな投資にも、メリット/デメリットはありますので以下でまとめたいと思います。

メリット:簡単に分散投資できてキャッシュ(現金)が得られる

これはS&P500連動インデックスファンドにも言えることですが、簡単に分散投資できます。
SPYDを買うだけで80社に分散投資することになるので、リスク分散することが可能です。
80社中の1社が業績不振/株価下落/減配となったとしても、その他79社が健全であればなにも問題ではありません。

そして魅力的なのが、配当金によるキャッシュ(現金)を得られることです。
これはS&P500連動インデックスファンドにはないです。
投資目的が「日々の生活費を少しずつでも得たい」という方には、SPYDはおすすめです。

(もちろん、キャッシュでSPYDをさらに買う“再投資”もありですが、それであればS&P500連動インデックスファンドでよいと思います)

デメリット:とはいえ年利約4~5%・・・S&P500の方が資産を最大化できる

デメリットは年利4~5%・・・という低さです。
短期投資家(スイングトレーダー)である僕からすると、年利4~5%はあまりにも低すぎる・・・。

これはもはやSPYDというより、長期投資と短期投資のスタンスの問題ですので、あまり強調するべきデメリットではないかもしれません。

長期投資家からすれば、年利4~5%は高い方だと判断する方々も多いと思います。

また、キャッシュ(現金)を手に入れることではなく、持っている資産を最大化することを目的にするのであれば、SPYDよりもS&P500連動インデックスファンドに投資した方が良いです。

S&P500連動インデックスファンドは年利約7%言われており、SPYDよりもパフォーマンスが高いです。
ただし、この年利約7%というのは”約20年間”S&P500連動インデックスファンドを持ったときの数値となります。

※参考までに、S&P500連動インデックスファンドである「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)@楽天証券」の紹介ページのリンクを貼っておきます。

【eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)@楽天証券】
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/detail/?ID=JP90C000GKC6

年によっては、S&P500連動インデックスファンドの価格が+10%上昇するときもあれば、-10%下落するときもあります。
2020年3月のコロナショックの際には、S&P500(ここでは、SPDR S&P500 ETF)の価格は、37,550円(2020年2月21日の終値)から25,600円(2020年3月19日の終値)まで下落しました。
-31.8%も下落していることになります。

2020年11月27日のS&P500の終値が37,750円であり、約9カ月かけてコロナショック前の水準にまで上昇してきました。

S&P500の週足チャート(2021年5月22日現在、SPDR S&P500 ETF)

SPYDもS&P500連動インデックスファンドも、あくまで長期投資家向けの投資信託です。
価格が下落しても持ち続ける・・・価格が下落したからこそ買い増すという長期投資家としてのスタンスが重要になります。
(大暴落の後でも約4~5年で価格は戻ってくると言われています)

SPYDは長期投資家向けであって、短期投資家向けではない

上記で説明したとおり、SPYDはあくまで長期投資向けであって、短期投資向けではありません。
“安く買って高く売る”“高く買ってより高く売る”という利ザヤで稼ぐ短期投資家のスタンスではなく、配当金で稼ぐという長期投資家のスタンスが必要になります。

したがって、短期的に買ったり売ったりするために重宝されるチャート分析(テクニカル分析)をする意味はほとんどありません。

そうなると、SPYDを買うタイミングとはいつになるのでしょうか?

結論、“いつでもいい”です。

長期投資では“いつ買うか”ではなく“持ち続けられるか”が問題になります。

「SPYDに長期投資するぞ!」

と決めたのであれば、最低20年間は持ち続けましょう。
どんなに相場が下落しようとも持ち続けましょう。
持ち続ける自信がないのであれば、長期投資はおススメしません。
つまりは、SPYDを投資対象から外した方がよいです。

“いつ買うか”ではなく、“どう買うか”

“いつ買うか”に対する回答は“いつでもいい”ですが、“どう買うか”には2パターンあります。

1、一括で買う
2、分割で買う

1、一括で買うメリット/デメリット

一括で買うとは・・・例えば、あなたが現金1,000万円分のSPYDを購入しようとしたとき、1回の買い注文で1,000万円分の株を買うことを意味します。

メリットとしては、1回の注文で終わるので手間が全くかかりません。
1,000万円分のSPYDを買ったらあとはほったらかしです。
最低20年間はずっと持ち続けましょう。

このメリットのためか、現時点で現金を多く持っている投資家は、一括で買う傾向にあります。

デメリットとしては、SPYDを一括で買った直後に価格が暴落した場合、含み損が膨れ上がってしまうことです。
なにもできずただただ資産が減り続けるのを待つという精神的なダメージが発生します。
前述したとおり、大暴落後でも約4~5年で価格は戻ってきますが、わかっていても気持ちが滅入ります。

2、分割で買うメリット/デメリット

分割で買うとは・・・例えばあなたが現金1,000万円分のSPYDを購入しようとしたとき、1回の買い注文で100万円分のSPYDを買うこととし、その注文を10回、期間を空けて繰り返すことです。
1回1回の買い注文をどのくらい期間を空けるかは、“1カ月”としている投資家が多いようです。

分割で買うメリットとしては、一括で買うときに比べて価格暴落時の精神的ダメージが少ないことです。
しかも余っている現金で安くSPYDを買い増すチャンスが得られます。
本記事では詳細を省きますが、まさに“ドルコスト平均法”をフル活用することになります。
ドルコスト平均法は簡単に言うと、SPYDの価格が高くなっているときに小さく買い、価格が安くなっているときに大きく買うことで投資効率を高める投資法です。

※ドルコスト平均法に深く知りたい方は、以下のリンク先を参照ください。

【ドルコスト平均法とは? 毎月定額で積立てる方法の長所と注意点を解説】
https://www.axa.co.jp/100-year-life/wealth/20200108/

デメリットしてはやはり1回1回の買い注文が手間であることです。
(最近では分割での自動購入を設定することも可能です)

また、あまりにも細かく分割して投資してしまうと、配当金の恩恵を得にくくなるので注意が必要です。
打ち出の小づちを徐々に大きくしながら振り続けるよりも、最初から大きな打ち出の小づちを振り続ける方が得られる小判(配当金)は多いです。

現在のSPYDの株価チャートは?

2020年3月のコロナショックで大幅に価格が下落したもの、コロナショック前の水準にまで戻ってきています。

2020年3月のコロナショックの際には、SPYDの価格は39.42ドル(2020年2月21日の終値)から22.33ドル(2020年3月20日の終値)まで下落しました。
-43.4%も下落していることになります。

2020年5月22日現在のSPYDの価格が41.45ドルですので、約1年かけてコロナショック前の水準にまで上昇してきました。

この”約1年”に耐えられるかが、SPYDに長期投資できるかの1つの指標になると思います。

SPYDの週足チャート(2021年5月22日現在、SPDR PORTFOLIO S&P500 HIGHDIVIDEND E (SPYD))

投資に絶対はないのですが、“SPYDの価格は大暴落しても戻ってくる”という絶対的なスタンスをとる必要があります。

直近のSPYDの日足チャートをみてみると、25日移動平均線に支えられるような形で堅調に価格が上昇しています。

上値が若干切り下がっているのが気になるところですが、短期投資のように細かいことを気にせずに、買ってどっしり構えつづけるのが長期投資の基本的なスタンス(姿勢)です。

SPYDの日足チャート(2021年5月22日現在、SPDR PORTFOLIO S&P500 HIGHDIVIDEND E (SPYD))
※紫色の曲線が、25日移動平均線です。

結論:SPYDの株価チャートをみることに意味はない

これまでの本記事の内容を整理すると以下のとおりです。

・SPYDは長期投資家向けであるため、株価チャートを見る意味はあまりありません
・投資資金(現金)を多くもっている投資家は、SPYDの一括購入を検討しましょう
・投資資金(現金)が少ない投資家は、SPYDの分割購入を検討しましょう
・いずれにせよ、SPYDは長期で保有するようにしましょう

投資に絶対はないので、「これから先もSPYDの価格が確実に上昇し続ける」と言い切ることはできません。

ただ、株価チャートで示したとおり、長期的な視点に立てば、右肩上がりで価格が上昇し続ける確率は非常に高いです。

そういった意味では、SPYDへの投資はドルコスト平均法と抜群に相性が良いですし、あなたの資産運用に役立てるかと思います。

それでは~

注意
本ブログの内容は、一個人投資家としての見解です。ブログの内容を踏まえた投資により生じた損失に関しては、一切責任を負いません。よろしくお願いいたします。

個人投資家 かまくら


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