「ANA株に興味があるのですが、いつ買えばよいのでしょうか?」
という質問にお答えします。
こんにちは、ミクロ投資法を教えているかまくらです。
上記のようなANA(9202)株に関する質問をよく頂きます。というのも・・・
「コロナ禍で業績不振/株価下落に陥っていますが、“大きくて潰せない”でしょ?」
「今の業績不振は一時的なもので、結局コロナがおさまれば業績は回復し、株価が上昇するでしょ?」
と思っている投資家が多いようです。
“大きくて潰せない”は、2008年のリーマンショック時に流行った言葉です。英語訳では・・・
【Too Big to Fail】
というフレーズですね。
まさにANAのような“日本の玄関口”“日本の空路”はインフラサービス(日本人の生活には欠かせないサービス)といっても過言ではないので、破綻しようものなら日本国が手助けるだろうと考える投資家もいます。
(とはいえ、JALは2010年に上場廃止に追いやられているので、ご注意ください)
また、ANAの業績不振は“一時的なもの”と考えるのは妥当だと思います。
2021年3月期の最終利益は赤字ですが、2022年3月期の最終利益は黒字転換する会社予想が出ています。
本記事では、ANAの業績不振は“一時的なもの”であり、今後のANAの業績向上/株価上昇が期待できることを前提として・・・
「では、いつANA株を買うべきか?」
という疑問に対して、テクニカル分析をもとにお答えしたいと思います。
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最初にお断りしておくと、「チャートだけでは勝てない」というのが僕の持論です。
ファンダメンタルズがしっかりしている企業の株価が上昇する傾向にあるわけで、チャートだけで勝てるほど株式投資の世界は甘くありません。
(もちろん、チャートだけで利益を出している株式投資家がいることも事実です)
「ファンダメンタル分析のルールの方を知りたい!」
という方は、記事「無料相談実施中!株式投資教えます!」に記載されている僕の連絡先までお問合せください。
厳密に数値化されたファンダメンタル分析のルールをご紹介します。
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2,817円 or 2,100円!ANA株を買うタイミング
結論を先に言ってしまうと・・・
・逆張り戦略をとるのであれば、株価が2,100円付近まで下落してきたらANA株を買う
です。
それでは、この結論にまで至った過程を解説したいと思います。
直近のANA関連のニュースと株価チャート(日足)の動き
2021年5月9日現在、直近でANA関連の大きなニュースが2つありました。
1、2021年4月23日、2021年3月期の最終損益の予想を上方修正
2、2021年4月30日、2022年3月期の最終利益の予想を黒字発表
これら2つのニュースと株価の動きについて解説します。
1、2021年4月23日、2021年3月期の最終損益の予想を上方修正
2021年3月期の最終損益の予想が、5,100億円の赤字から4,050億円の赤字に上方修正されました。
【通期連結業績予想の修正(繰延税金資産の計上等を含む)に関するお知らせ】
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/cvfs89/
赤字が縮小される見通しとなり、投資家心理が改善しました。
2021年4月23日の翌営業日(4月26日)のANAの終値は2,506.5円であり、前日比で+137円(+5.78%)上昇しています。
ANAの日足チャート(2021年5月11日)
株価の急上昇を抑えるために、2021年4月30日の2021年3月期決算前に最終損益の上方修正の予想を発表したかたちとなります。
2、2021年4月30日、2022年3月期の最終利益の予想を黒字発表
2021年4月30日、2021年3月期の決算が発表されました。
注目するべき数値は、2022年3月期の業績予想の増加率です。
営業利益の増加率:黒転(4,647億円→280億円)
経常利益の増加率:黒転(-4,513億円→50億円)
最終利益の増加率:黒転(-4,046億円→35億円)
※“黒転”は黒字転換という意味です。
【2021年3月期決算短信】
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9202/tdnet/1959835/00.pdf
「株価は半年から1年先の業績を織り込んで動く」と言われているので、業績予想の増加率は必ず確認するようにしましょう。
2021年4月30日の翌営業日(5月6日)のANAの終値は2,536円であり、前日比で+31円(+1.24%)上昇しています。
2021年5月6日の始値(2,604円)は高かったのですが、終値(2,536円)にかけて株価は下落していきました。
ローソク足は大陰線となっています。
ANAの日足チャート(2021年5月11日)
営業利益、経常利益、最終利益の増加率の予想はすべて黒転となっているのですが、黒転予想の度合(程度)は投資家を驚かせる程のものではなかったということが読み解けます。
この「黒転予想の度合(程度)は投資家を驚かせる程のものではなかった」という部分が、“投資家心理”と呼ばれています。
“決算の結果→株価の上昇(下落)”と結び付けている投資家が多いですが、厳密には“決算の結果→投資家心理の変化→株価の上昇(下落)”です。
“投資家心理の変化”を読み解くのはほぼ不可能ですので、僕自身は決算前に持っている株をすべて売ってしまっています。
いわゆる“決算ギャンブル”をしません。
決算発表日の調べ方は、記事「ダメ絶対!決算発表のギャンブル投資」を参照ください。
ANA株価チャート(週足)の動き
ANAの株価チャート(週足)上で、高値と安値をざっくりと黒い線で結んでみます。
ANAの週足チャート(2021年5月11日)
直近では、“高値が切り下がって、安値が切り上がっている”状態です。
これはダウ理論でいうところの“持合”です。
株価は上昇するのか下落するのか、まだトレンドが発生していません。
ただ、2021年3月15日の週の高値(2,817円)を株価が越えた段階で、ダウ理論の“上昇トレンド”が確定します。
したがって、順張り戦略をとるのであれば、株価が2,817円を超えたタイミングでANA株を買うのが妥当と言えます。
投資家の中には「2,817円以上になったら注文を出す」という買いの逆指値注文を入れる方が多いのではないでしょうか。
ANAの週足チャート(2021年5月11日)
また、ANAの株価は2,100円台で底堅い動きを見せています。
(株価が2,100円より下がる可能性は低いです)
したがって、逆張り戦略をとるのであれ、株価が2,100円付近にまで下落してくるのを待つのもアリです。
逆張り戦略をとるのであれば、2,100円付近で買いの指値注文を入れておきましょう。
補足:ANAの株価チャートとRSIの組み合わせ
ここまででANAの株価チャート(日足、週足)について解説してきました。
ここからはRSI(相対力指数)について触れたいと思います。
RSIとは、株の“買われ過ぎ”“売られ過ぎ”を数値化したものです。
RSIの数値が70~80%であれば“買われ過ぎ”、20~30%であれば“売られ過ぎ”と一般的には言われています。
※株価の急上昇時や急落時に関しては、RSIの数値は参考になりにくいと言われていますので、ご注意ください。
2021年5月11日現在のRSIの数値は“57.01”ですので、“買われ過ぎ”とも“売られ過ぎ”とも言えません。
ANAの株価チャートにRSIの数値を組み合わせた解釈は以下のとおりです。
ANA株の株価が2,817円に到達していたとしても、RSIの数値が70~80%に達している場合は“買われ過ぎ”と判断し、ANA株の買いを見送る場合もあります。
【逆張り戦略】
ANA株の株価が2,100円付近まで下落していて、RSIの数値が20~30%に達している場合は“売られ過ぎ”と判断し、強気にANA株を買うという選択もできます。
「順張り戦略」では見送り、「逆張り戦略」では買いという説明からもピンときた方もいるかと思いますが、RSIは「逆張り戦略」をとる際にもちいる場合が多いです。
僕自身は「順張り戦略」をとることが多いので、RSIの数値を参考に株の売買をすることはほとんどありません。
「逆張り戦略」をとろうとしている方は、ぜひ、RSIの数値も参考にしてみてください。
注意
本ブログの内容は、一個人投資家としての見解です。ブログの内容を踏まえた投資により生じた損失に関しては、一切責任を負いません。よろしくお願いいたします。
個人投資家 かまくら